遠い記憶の底に沈んでいたポエム?エッセイ?童話?短編?……

ずいぶん前から書きためていた文(もの)です。取るに足らない書き物ばかりですが、パソコンを開いていたら100編ほどの文がありました。少しづつ整理して投稿していきたいと思っています。

雑木林でネコが泣く(その6)

ページを開いてくれてありがとうございます。
今回で最終回にする予定でしたが、ダメでした。
一記事の投稿文字数の壁に阻まれてしまいました。
3,000文字の規定があることは承知していたのですが、
ダラダラと拙文をつづっていると筆が止まらなくなり
ました。
気が付いたら文字数で約15,000文字数ほどになってし
まいました。
今後、何回かに分割し小まめに投稿してみたいと思っ
ています。

四季の移りは早いものです。今年も鉛色の雲が空を覆う季節になりました。
以下、雑木林でネコが泣く(その5)の続きです。
雑木林でネコが泣く(その6)

私は少しの間、手の上で小さな口の先を突き出し、チ
ュウチュウと指を吸う子ネコを黙って見つめていまし
た。
少しでもでも早く家に戻りミルクを与えてあげなけれ
ば子ネコは衰弱し取り返しのつかないことになってし
まう。
でも、でも……もしかしたら、もしかしたら山の神様
のご機嫌を損なう。
さまざまな思いが一瞬、ごたごたと頭の中を走りまし
た。が、すぐに私はキ―っと、唇を固く結びなおしま
した。
(そうだ。さっき、絶対に、ご飯を食べさせて、食べ
させてあげると、子ネコに約束した。こんな場所で子
ネコを犬死(いぬじに)に……いや、そうじゃなかっ
た。ネコだからネコ、ネコ死(ねこじに)になんかさ
せないぞ!―)
私は子ネコを見すえました。
子ネコは私の指に両手両足を絡めていました。
子ネコから絶対に離さないぞ。と、強い思いが感じら
れました。
子ネコの意識がそうさせるのではなく、動物に備わっ
た生命力がそのような行動をさせていたのだと思いま
した。
子ネコは私の指先をチュチュと音をたて吸っていいま
したが、子ネコの体がブルブルと小刻みに震わせてい
ました。

私は手のひらの上で体を打ち震わせる子ネコを見すえ
ました。
(お前さん……いつからこの箱の中にいるのか……わ
からないけれどな……)
私はウォキング用のズボンの後ろポケットからタオル
布のハンカチを指の先で抜き出しました。
(ま―良く生きていたな……)
そして、震える子ネコの体をハンカチで包みました。
その間も子ネコは指の先をチュチュと吸い続けていま
した。

私は子ネコをハンカチで包み胸の中に抱え込みました。
子ネコは乳をとられると思ったのか、手の中で嫌々を
する子どものように身をよじり、精いっぱいの抵抗を
していました。
(よしよし。まってろよ。今すぐにおいしいミルクを
飲ませてあげるからな)
私はハンカチの上から子ネコの頭の上にそっと手を触
れました。
ハンカチの上からもブルブルと震える子ネコの肌が伝
わりました。
私は真綿を包むように子ネコを抱き潜り込んだ雑木林
の入り口に歩きました。
そして雑木林のいる口付近まで歩くと、私は首を長く
伸ばし目の先を左右にふりました。辺りに人がいない
ことを確かめました。
別に悪いことをしているわけではなかったのですが、
なんとなく胸にハンカチを抱いて雑木林から抜け出す
ところを見られたくありませんでした。
「なんだ―あの人、ハンカチなんか胸に抱いてさ―林
の中から出てきた。なんだか―あやしい。ハンカチに
包んでなにかお宝でも拾ってきたんじゃーーないかな
―」
と、あらぬ疑いを抱かれるのも嫌なので慎重に首を左
右にふりました。
人の声や足音に寸刻、耳をジーっと澄ましていました
が、さいわい近辺に人のいる様子が感じられませんで
した。
聞こえるのは雑木林のどこで鳴くのかチッチッと鳴く
鳥のさえずりだけでした。
人がいないことを確認し雑木林から抜け出しました。

林の中から聞こえるのは小鳥のさえずりだけでした。
雑木林の中からはいだして雑木林を周回する路を右方
向に十数メートル歩くと左に折れる区道がありました。
その区道の両側に沿って住宅が密集していました。
町の先に総武線の駅がありました。
私の住まいは雑木林を抜けると左方向にありました。
雑木林を抜けて左側に100メートルほど歩くと雑木
林を周回する路から右に折れる道がありました。
右に折れると、その道沿いに家屋が並んでいました。

雑木林から住宅街を走る道路は二車線でした。
車がやっと連れ違うことのできる細い道でした
二車線の区道を車で走ると約十数分で片側三車線の国
道と交差しました。
街の中にはコンビニエンス、大手薬チェ―ンの看板が、

数件、軒を連ねるように並んでいました。
 

薬チエーンのお店でネコのミルクも販売されていま
した。
私は雑木林を抜け出しホット胸をなでおろしました。
なんとなく一仕事を終えたような気持ちでした。
私の顔が思わずニコッとほころびました。が、次の瞬
間でした。
(いやいや、ほんとうの勝負はこれからだ)
と、私は山の神様の顔を思い浮かべました。そして唇
をキュッと結びなおしました。

次回(その7)に続く
小まめに投稿しますのでページを捲つていただけたら
うれしいです。
では新しい年が皆様にとってより良い年でありますよ
うに。

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