遠い記憶の底に沈んでいたポエム?エッセイ?童話?短編?……

ずいぶん前から書きためていた文(もの)です。取るに足らない書き物ばかりですが、パソコンを開いていたら100編ほどの文がありました。少しづつ整理して投稿していきたいと思っています。

不思議な現実

          

                 

         ページを開いてくれてありがとうございます

     


            環境庁ホームページ参照
            平成28年度捨てネコの数
            年間約82,900匹
            殺傷処分されるネコの数
            年間約45,000匹

(2)雑木林でネコが泣く


両側を雑木におおわれた雑木林の小道を歩いていると、
道の傍らに獣道のような細い径があることに気が付きます。
雑木林の小道の左右に気を配り歩いていないと、
通り過ぎてしまうほど雑木が密集する径でした。
細い径は雑木林の中央に向かって続いていました。
その径を進むと木々を枝打ちし雑草が刈り込まれた
小さな空間に出ました。
雑草や木々が茂る雑木林のなかで、
その場所だけポッカリと浮いているようでした。
周囲五六メートルほどの小さなさら地でした。
空き地のほぼ中央に、ミカン箱を4個ほど重ねたほどの
小さな祠(ほこら)が建っていました。
誰が、いつ何のために造ったのか、
いまは知る人は少なくなっていました。
そんな時代ですが、どなたかが細々と祠を保存するために
周囲の草木を切りそろえているようでした。
祠の中を覗くと地蔵尊が鎮座していました。
私が祠の存在を初めて知ったのは、
子どもにせがまれ昆虫採集のため
雑木林のなかにはいったときでした。
その当時は『へ―こんな場所に祠がるんだ。へー』
と、思っただけで感心も興味もありませんでした。
それ以来、祠の存在を思い出すことはありませんでした。



ある日の休日。
私は恒例の雑木林ウオーキングに出かけました。
その日は朝からすがすがしい葉漏れ日が、
雑木林の小道でユラユラと揺れていました。
昨夜の深酒もすがすがしい朝の空気に肺が満たされ、
身体の調子がなんとなく軽やかになりました。
のんびりと歩いていた私の耳にとつぜんでした。
『ミャーミャー』
泣くネコのか細い声が聞こえました。
(あれ?……)
私は立ち止りました。
耳を傾けました。
(ふ……)
私の口もとが自然とほころびました。
世界で一番のネコ好きを自称する私です。
ネコ大好き人間です。
ネコの泣く声を耳にしてそのまま通り過ぎるわけにはいきません。
たとえ野良ネコでも道沿いで顔を合わせたとき
『おいで、おいで』と、指先を振る私です。
(ふ……)
また私の口もとがほころびました。
ネコが泣く場所の見当がつきました。
声は雑木林のなかからきこえました。
(捨てネコなのかなー)
一瞬、ほころんだ私の目元が曇りました。
ネコを捨てる人の気持ちが理解できませんでした。



毎日のように雑木林の小道を歩いていますが、
ネコの泣き声を聞いたのは初めてでした。
音をたててはネコがビックリして逃げ出してしまう恐れがありました。
声だけ聞いて顔も見ないでこの場をあとにするのは、
なんとなくあとで悔いが残るような気がしました。
私は足音を忍ばせ一歩一歩つま先を立て
雑木林のなかに滑り込みました。
ソット足音を忍ばせ祠に寄ったつもりでしたが、
一瞬、ネコの泣き声が聞こえなくなりました。
誰に教わったわけではないはずなのに、
動物に備わった本能が微かに危険を察したのかもしれません。
(あれーっ。ネコはどこにいってしまったのかなー)
一瞬、立ち止まりました。
耳を澄まし辺りに首を振りました。
そして、祠の側にポッンと置かれたダンボール箱に目を注ぎました。
箱はミカン箱でした。
上州ミカンと太い字で印刷されていました。
(さっき……あそこのダンボール箱の内でミャ―ミャーと
泣きじゃくって…いた……いたような。いたような気がする……)
しゃくりあげるようなネコの泣き声が消えた雑木林は、
わずかな一瞬、音もなく閑とした空気に包まれました。
ネコは箱のなかで背を丸め聞き耳を立てているようでした。
が、うずくまっているのがたえられなくなったようでした。
とつぜんミャーッと細い声をあげました。
いったん泣き出す我慢できなくなったようでした。
ネコの泣く声は『たすけてーボク、ここにいるよ』
と、私には聞こえました。
ダンボールに近づくと、箱のなかで泣く細い声が、
さらに高くなりました。
その声はまるで生まればかりの赤ちゃんの泣き声と同じようでした。
純粋で汚れもなく、甘く柔らかく澄んだ声でした。
親に甘える赤ちゃんの声と同じようにきこえました。
ダンボールの箱に入っているため
ネコの泣き声は、少しくぐもっていました。
が、細い喉の奥からけんめいに声を振りたて、
けんめいにたすけを求めているのが肌で感じられました。
耳を傾けると、
その声は
『おかあさーん。おとうさーん。ボク、ボクここにいるよー。
おかあーさーん、おとうーさん。はやくはやく、
はやくたすけて! ―たすけてーおなかがすいたよー。
はやくはやく、ごはんをたべさせてよー。ミルクをのませて―』
と、泣いているように聞こえました
声は消え入りそうな細い声でしたが、
けんめいに泣いているようすが感じられました。
雑木林のなかでポッンと一人いる私には……
妖精……天使が下りてきてダンボール箱の回りで舞いながら、
私の耳元で『はやくはやくー、たすけてあげて』
と、ささやいているようなとても不思議な感覚を覚えました。
ネコの泣き声は蚊が泣くような細い声でしたが、
一歩、箱に近寄るたびに泣く声はさらに高くなりました。
誰かが寄ってくるのがわかったのでしょう。
全身をよじってたすけを求める声だと確信しました。
ガリガリとダンボールの内側をひっかくような音も
わずかに聞こえました。
身をよじり、全身でたすけを求めているようすです。
箱の中を見ていなくとも、私の目の中にネコの姿が見えました。
(捨てられてしまって…かわいそう……だなー拾って……帰ろうか―)
そんな思いがフッと過りました。
が、箱の前で立ち止まった私の頭のなかに、
フッと、山の神様(奥さん)の顔が浮かびました。


                                 
                            続く


ページを開いてくれた皆さん。ごめんなさい。
今回の記事は前回投稿した記事と重複してしまいました。
次回からは、今回を猛省し慎重に記事を見直し投稿したいと思っています。
ページを開いてくれた皆さん。貴重なお時間を頂いただいてごめんなさい。
いつも心構えとは異なり中途半端な終わり方をしてしまいます。
次回は、本当にまじめにまじめに投稿します。
誤字脱字ご容赦下さるようにお願いいたします。



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